医療における様々な格差が今、問題になっています。医療費の増加傾向から政府は支出抑制策を出したり、厚生労働省もこのような事態を重く受け止め様々な策をこうじています。しかし医療格差は進むばかりで、特に地方における医師や病院の地域格差、医療サービスの差についての問題は危機的状況にあるほどです。
その背景には、医師や地域の偏差による地域間の問題や、医師の育成準備期間とも呼べる初期研修制度などの改正等から、地方の中核病院からの医師の引き上げが起こり、診療科目を維持することが困難な状況に陥る地域もあるほどです。地理的要因、つまり人口が少ない地域ほど医療サービスに格差が起きているのです。特に診療科の偏在があり、小児科専門医師の減少は著しいです。現実問題として小児科の医師には女性医師が多く、中々、症状を訴えられない子供を診るには時間がかかること、急変や夜勤に対応するにも、女性医師も家庭を持っている場合、これらの状態に適応しにくい環境にあることが挙げられます。
もう一つ挙げられるのが産婦人科医師の減少です。産婦人科はハイリスクを伴う科とも言われており、事故訴訟のリスクを避けるために産婦人科を集約化させたり閉鎖する病院が相次いでいるのです。このような医師の問題や特定の診療科の減少の他に、医療費の公的支援の縮小や廃止、制度改正により医療費を下げる一方で、政策の歪みが出て事態の悪化を招いているとも言われています。また、低所得者が医療費を払えないことによる格差も大きな問題です。過酷な医療現場ではありますが、全ての人が平等な医療を受けられる社会になるよう、一人一人の努力や知恵が必要です。